森博嗣『探偵伯爵と僕』(講談社)

探偵伯爵と僕―His name is Earl (講談社文庫)探偵伯爵と僕―His name is Earl (講談社文庫)
森 博嗣

講談社 2008-11-14
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ミステリーランド版が出た時から気になりつつ、文庫化を待っていた1冊。
主人公は小学生。
文体はいつものように難しい理系用語などは出てこない。

ある日、主人公は“伯爵”と名乗る男に出会う。
謎めいた伯爵とひょんなことで友達になる。
そんな中、主人公の学友が1人、いなくなった。
神隠し?
誘拐?
いや、殺人。
徐々に姿を現す事件の暗い形相。
児童文学のようだった作品、いきなり、すぅっと空気が変わる。
小学生と、殺人事件が交錯する。
伯爵は何時の間にやら色々と調べており、主人公もいつの間にか事件の核に触れようとしていた。

そして、事件の終末。
明かされる、伯爵の素性、思わず、ほろっときた。


…それで終わらないあたり、さすが森ミステリというか。
すとんと着陸したはずの地面がふわふわの泡に変わってしまった。

やーい、油断したな。
と、森さんに思われている気がした。


↓ミステリーランド版はこちら。

探偵伯爵と僕 (ミステリーランド)探偵伯爵と僕 (ミステリーランド)
森 博嗣

講談社 2004-04-28
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↓ノベルス版はこちら。

探偵伯爵と僕 (講談社ノベルス)探偵伯爵と僕 (講談社ノベルス)
森 博嗣

講談社 2007-11-07
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森博嗣『τになるまで待って』(講談社)

τになるまで待って (講談社文庫 も 28-36)τになるまで待って (講談社文庫 も 28-36)
森 博嗣

講談社 2008-07-15
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探偵・赤柳初朗に雇われたアルバイトとして、山吹、加部谷、海月は超能力者・神居静哉の別荘”伽羅離館(がらりかん)”を訪れる。
同じく、彼を取材をしに来ていた記者とカメラマンと晩餐を共に終えた後、密室での殺人が起こる。
Gシリーズ第3作目。


森作品…テンション出だしから上がりつつ、さらっと読み終えました。
Gシリーズは、やっぱり、というか、あまり謎に重きを置いていないんだなぁと感じます。
ミステリのメインテーマは「犯人は誰か」というところにある、というのが大半は定説のように考えているのだけれど、森作品、森ミステリを読むと、乱暴な言い方だけれど「常識なんて、くそくらえ」と思います。
まぁ、正直、若干はもやもやするのだけれど、良い意味で諦めているのか、毎回「えっ、これはどうなるの??犯人の動機とかは??」とうろたえなくなりました。
森作品にはまっていなくて、白黒はっきりつけて欲しい、真実を白日の下に!という姿勢でミステリに挑まれる方にはオススメはできないですかね。

今回の作品では、S&Mシリーズ、ひいては、森作品に欠かせぬ”あの人物”の影がちらちらするので、ファンは一瞬どきんとしてしまうはず。
”これから”がますます、気になってきました。

お話の中では、超能力に対して、理系の方々は他者に比べると冷静な姿勢なのですが、理系と文系って、やっぱり思考がだいぶん違ったりするのかなぁ。
森作品を読むと、そのあたりもすごく気になります。
自分を完全文系人間だと思っているので、憧れに近いものがあります。

しかし、Gシリーズを読む時、何故か海月が出てくる度、”L”(『DEATH NOTE』)みたいな雰囲気を思い起こしてしまう。
表情や言葉で感情を表さず、発言や行動に無駄がないところがだぶるのかな。
同シリーズで一番お気に入りのキャラクタ。

↓ノベルス版はこちら。

τになるまで待って (講談社ノベルス)τになるまで待って (講談社ノベルス)
森 博嗣

講談社 2005-09-06
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宮部みゆき『長い長い殺人』(光文社)

長い長い殺人 (光文社文庫)長い長い殺人 (光文社文庫)
宮部 みゆき

光文社 1999-06
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’99年に発売された文庫本を何故、今?
まぁ、私の読書人生では、宮部作品はゆっくりとでも、全部読んでみたいなとは思っているのですが、タイミング的にはWOWOWでの映像化がきっかけ。
キャストが豪華だし、面白そう!と単純に飛びついてしまいました。
残念ながら劇場で鑑賞はできなかったのですが、DVDが出たらレンタルにはなっちゃうけれど、是非!観たいなと楽しみにしています。

さてさて、この作品。


語り部は何と、”財布”。
刑事の財布、死者の財布、犯人の財布…。
持ち主に劇的な事柄がそれぞれあるんだけれど、”お財布が語る”という設定がすごい。
10の財布たちが出てくるのですが、さすが宮部さんというか、それぞれのキャラクタがしっかりできていて、面白い。
持ち主を心配したり、応援したり。
財布たちの冒険(実際に動き出したりはできないんだけれど)も注目です。
財布といっしょにハラハラドキドキしてしまいました。
こんなこと、今までにないです、財布と一緒にドキドキ(笑)。

とある事故死、浮かび上がる疑惑、掘り出される過去。
ばらばらだったはずのお話がいつの間にかひとつの物語を紡ぎ、”犯人”へとたどり着く。

今回の(解説に掲載のカッパノベルス版”著者のことば”の表現を引用しつつ表現するなら)「短編小説を重ねていって「創りあげ」られた「ひとつの長編」、ヤラレタ感に満たされています。
個人的には宮部作品は短編より長編が好きです、しかし、こういうかたちの作品も面白いなぁ。


↓現在(2008年8月1日時点)はまだ未発売のDVD。
早く観てみたい…。

長い長い殺人長い長い殺人
長塚京三, 仲村トオル, 谷原章介, 麻生学

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2008-09-03
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三浦しをん『私が語りはじめた彼は』(新潮社)

私が語りはじめた彼は (新潮文庫 み 34-5)私が語りはじめた彼は (新潮文庫 み 34-5)
三浦 しをん

新潮社 2007-07
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本屋大賞絡みで単行本を購入したものの、ずーーっと棚に収まったままであったものを漸く読みました。

初めて読む作家さん、三浦しをんさん。
直木賞、受賞されましたね、『まほろ駅前多田便利軒』

女性をひきつけて止まない村川、彼の周りにいる人間たちが語り始めることにより、物語は進んでいく…。
連作短編集。

すごくタイトルがきれいだなと漠然と感じていて。
しかし、冒頭の”昔の話”(2Pほどなのですが)の描写が痛くて、嫌。
前回読みかけて挫折した時も同じとこでギャッと感じたのに忘れて読み返してしまった…痛い描写は苦手…。
そんなテンションで読み出しました。

三浦しをんさんファンの方には「一冊目にこの本を選ぶなんて!」みたいなコメントを頂きました。
他の作品を知らない私も、入り方間違えたかなと読みながら思っていましたが。
別の作品に関するレビューなどをちょこちょこ読んだことはあったので、「この作家さんって、こういう感じだっけ?!」とどきどき。
もう少しライトなイメージだったので…。
この『私が語り~』、ドロドロ…結婚に憧れている私の夢をぐいぐい押し退けてくれました。

”愛”=きれいなもの、ではないということは分かっているけれど、こんなに女性を引き寄せてしまう男性を奪い合う
ようなことはできないな~と、気が弱い私は思うのでした。
奪ったら奪ったで、今度は自分が奪われてしまう不安も覚悟も必要なんだもの。
終わらない連鎖、苦しい…。

面白いのは、こんなに色んなひとが村川を色んな意味で意識しているのに、彼自身がほとんど登場せず、彼の言葉が影響する場面も特にないところ。
それでも、どんどん存在がぼんやりながらも浮き出てくる村川という男性。
その導き方というか、積み重ね方は上手だなと思いました。

でも、私はあまり得意な作品ではないです。
次はベタでもご都合が良くても、もうちょっと能天気なラブストーリーが読みたい…。

↓単行本はこちら。

私が語りはじめた彼は私が語りはじめた彼は
三浦 しをん

新潮社 2004-05-25
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宮部みゆき『誰か』(文藝春秋)

誰か (文春文庫 み 17-6)誰か (文春文庫 み 17-6)
宮部 みゆき

文藝春秋 2007-12-06
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今多コンツェルン広報室の杉村は自転車による轢き逃げにより、事故死した会長専属の運転手、梶田信夫の娘たちから相談を受ける。
未だ捕まらぬ犯人に訴えるべく、亡き父についての本を作りたいと言う。
彼女たちの強い想いにほだされ、梶田の人生をたどり始めた杉村であったが…。

久々に読んだ宮部作品。
一気に読ませてくれるのはさすが、と思います。
物語に起きる”事件”との距離感がタイトルの「誰か」と同じように、”近いような遠いような”感覚で進んでいく。
誰の目から見ても”殺人事件”として扱われるようなものではない、梶田の死から始まり、全く違う面が顔をのぞかせる物語。

今多コンツェルンの娘の夫として周囲にけして格好良くばかり思われていないことを知りながら、妻や娘のために、その立場を貫く杉村。
読者として、彼の心の内を知らない、物語に出てくる周囲の登場人物たちにとっては”情けない”、”恵まれた”人間としてしか映らないかもしれないし、彼もいちいちそれを訂正したりはしない。
読者である私はそんな杉村を”男らしい”とも思ったり。

宮部作品の中でもけして派手ではないミステリ。
ミステリの裏にあるミステリ。
派手ではないけれど、ぞっとしたり。
それでも、最後には穏やかな気持ちにさせてくれます。

↓ノベルスはこちら。

誰か Somebody (カッパノベルス)誰か Somebody (カッパノベルス)
宮部 みゆき

光文社 2005-08-20
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↓単行本はこちら。

誰か ----Somebody誰か ----Somebody
宮部 みゆき

実業之日本社 2003-11-13
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三田誠広『いちご同盟』(集英社)

「百まで生きて、その間、直美のことを、ずぅっと憶えていよう」

いちご同盟 (集英社文庫)いちご同盟 (集英社文庫)
三田 誠広

集英社 1991-10-18
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中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院中の少女・直美を知る。
徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一もよい話し相手になって彼女を慰める。
ある日、直美が突然良一に言った。
「あたしと、心中しない?」
ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と死をリリカルに描いた長篇。(裏表紙・あらすじより)


文庫コーナーをぐるっと見て、”読んだことのない作家さんの本”を探り、表紙の写真にひかれて選んだ一冊。
教室の、凛とした風景。
07071709imgp0831_1

私の衝動買いでは珍しい、ヒット!でした。
1日あれば、読めるページ数です。
けして、小難しくも、固くも、暗くもない。
後半を電車の中で読んでいる内に、涙で目が潤んできていました。
何て、瑞々しくて、澄んでいるんだろう。

主人公である良一はピアノの講師をしている母に反感を抱きながらも、ピアノを弾くことも諦められず、成績も伸び悩み、進路に悩んでいるところ。
そして、自殺した小学生の誰にぶつけたのか知れない遺書に関心を持ったことから、生きるということ、死ぬということについて考え始める。
そんな中、出会う徹也と直美。
良一の学校の野球部でスター的存在、明るくて、女子にも人気がある。
推薦をもらい、高校への進学も決まった。
しかし、良一から見た徹也は”悲しい時に、わざと明るくふるまう””そんなやつ”
徹也は非常に素敵です。
兄妹のように育った、幼なじみの直美が病魔に侵されていく中、彼は沈んだ顔を見せることなく、常に直美に正面から接し、「いじけている」とストレートに言葉をぶつける。
人前では冗談を飛ばし、直美の病気が進行する中でも同級生の前ではおちゃらけているけれど、その心の中はいつも直美のことを考えている。
病のせいか、少し大人びたところを含む直美も真っ直ぐです。
病気のことで涙をこぼしつつも、「うふっ」と時折、笑顔を見せる。
徹也が大事に思い、良一がひかれていくという設定に無理がなく、自然でした。
物語を通して、良一自身も様々なことを考え、成長していきます。

重い病にかかった少女が出てくる、というのはありふれた題材かもしれないけれど、それに主軸を置き、直美にクローズドアップされたストーリーではない。

この作品は少年少女の心の成長を描いています。
愛と勇気、そして、希望の物語です。

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三崎亜記『となり町戦争』(集英社)

となり町との戦争がはじまる。

となり町戦争となり町戦争
三崎 亜記

集英社 2006-12
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ある日、突然となり町との戦争が始まった。 戦争がすぐ側で起きていることに現実味を感じることができぬ中、広報紙に発表される戦死者の数は確実に増えていく。 戦争は確かに今起こっていることなのだ-。 そんな中、”僕”のもとに”戦時特別偵察業務従事者”の任命書が役場から届いた。


何の前触れもなく、地域の広報紙にぽつんと掲載される戦争の告知。
やがて、戦争開戦の日を迎えても、町が崩壊している様子もないし、人々はいつも通りに生活している気がする。
本当に戦争なんてやっているの??と疑問を抱く主人公。
数日後、広報紙には戦死者の数が掲載されており、”戦争”の気配を僅かに感じることになる。
見えない戦争、そのテーマはとても興味深く、楽しみにしておりました。
間接的に、時に直接的に、現実ではないかのような戦争に関わる登場人物たち。
そんな小説を読んだ私はさらにさらに間接的に関わっているような気がして…感覚が鈍く、薄い。
登場人物たちがリアルに感じることのできない状況はさらにリアルに感じることができなくなった。
何か、距離を感じてしまったぞ??
リアルではない戦争を描くにあたり、物語の輪郭までもぼやけてしまっているような気がする。
文章の雰囲気、描き方はとても丁寧で、いいと思うのだけれど、”戦争のリアル”が迫ってこないの。

淡々とした香西さん(役場の女性)、そして、彼女の弟のキャラクターなんて、けっこう好きなんだけれどなぁ。
面白くない!ことはないのですが、何だか壁を感じつつ、読了。

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松岡圭祐『バリア・セグメント 水の通う回路<完全版>』(小学館)

バリア・セグメント 水の通う回路 完全版バリア・セグメント 水の通う回路 完全版
松岡 圭祐

小学館 2006-08-04
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千葉県佐倉市で小学生が自ら腹部をナイフで刺すという事件が起きた。
次々に似たような事件が全国的に起こり、その子供たちは皆、「シティ・エクスパンダー4」という人気ゲームをプレイしたという共通項を持っていた。
製作会社”フォレスト”の社長・桐生には思い当たることはなく、社員、ライバル会社”シグマテック”にも波紋がひろがり…事件の真相とは?

冒頭にて著者の松岡さんは一番最初に出た単行本『水の通う回路』(幻冬舎)、その後刊行した文庫本『バグ』(徳間書店)、ともに「不完全」と称している。
編集者の方とのかねあいもあり、自分の思う通りにはいかなかったようです。
そのため、その時に刊行された作品とは犯人、真相ともに違うようです。
私はその前2作を読んでいないため、あくまでも冒頭の説明を読んで、そう解釈したのですが。
「8年の時を経てついに完成した著者入魂の傑作」、と帯には書いてありました。

私が気になったのは「ディズニー」の名前がちょこちょこ出てくるところ。
以前に松岡さんの『ミッキーマウスの憂鬱』を読んだことがあるのですが、そのお話は題名の通り、「ディズニーランド」が舞台のお話。
松岡さんは「ディズニー」に何か思い入れがあるのでしょうか??

けっこうたくさんの人数が出てくる本作。
最終的にそんなに悪人がいない…というところが、前述の『ミッキーマウスの憂鬱』と近いかな、と感じました。
読んだことがないのですが、松岡さんの代表作『千里眼』、『催眠』両シリーズは内容的には重いのかな?という印象があるので、私の読んだ2作品の読後感がなかなか爽やかなことが何だか意外に感じてしまいまして。
一体どんなお話なんでしょう(本当に大まかにしか分かっていない…)。

最近は角川書店から文庫『千里眼』の新刊が出て、売れ行きがなかなか好調とのこと。
同時に3冊も出ております。

千里眼The Start千里眼The Start
松岡 圭祐

角川書店 2007-01
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千里眼ファントム・クォーター千里眼ファントム・クォーター
松岡 圭祐

角川書店 2007-01
売り上げランキング : 767

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千里眼の水晶体千里眼の水晶体
松岡 圭祐

角川書店 2007-01
売り上げランキング : 791

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松樹剛史『ジョッキー』(集英社)

ジョッキージョッキー
松樹 剛史

集英社 2005-01
売り上げランキング : 171302

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フリーの中堅騎手・八弥は騎乗依頼がないと、生計をたてることも難しい状態。
そんな中、注目の新馬に乗る機会がやってきて…。

宮部みゆき氏、絶賛!
「個性豊かで、愛すべき登場人馬たち。すっかり作者の術中にはまってしまいました。」

宮部さんが絶賛!期待。

結論。
競馬に知識のないひとでも十分楽しめる内容。
それでいて、細々とした背景描写もあり、面白い。
何か、物足りない、何だろう。
もう一押し、何かが欲しいかも。

ただ、けっこう後から後からたくさんのひと、馬が出てくる中、それぞれに個性を割り振り、混乱しないところはすごいと思う。
ちょっとしたエピソードが本編にいくつか盛り込まれており、それを通して主人公の性格や考えが露呈していくのだが、小さな合いの手がなかなかいいスパイスになっています。

主人公の人間臭さ、競馬という勝負の世界の裏側。
ああ、青春小説。


”競馬”というものに関係する小説を初めて読みました。
解説にて藤代三郎氏が”競馬”小説をいくつか紹介されているので、気になる方はチェック。
このたくさんの作品を挙げた上で藤代氏は「私の読みたかった競馬小説がここにある」と『ジョッキー』の解説をされています。

海渡英祐『無印の本命』
佐野洋『蹄の殺意』、『牧場に消える』、『禁じられた手綱』、『直線大外強襲』
三好徹『円形の賭け』
阿部牧郎『菊花賞を撃て』、『天皇賞への走路』
石川喬司『走れホース紳士』、『競馬聖書』、『ホース紳士奮戦す』
塩崎利雄『極道記者』
油来亀造『グランプリで会おう』、『春が来た!』
石月正広『競馬狂ブルース』
新橋遊吉『八百長』→直木賞受賞
岡嶋二人『焦茶色のパステル』→江戸川乱歩賞受賞
宮本輝『優駿』→吉川英治賞受賞、「競馬小説の傑作」と述べられています

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宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー(上・中・下巻)』(角川書店)

ヴェスナ・エスタ・ホリシア。
再びあいまみえる時まで。


ブレイブ・ストーリー(上)ブレイブ・ストーリー(上)
宮部 みゆき

角川書店 2003-03-05
売り上げランキング : 1795

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映画は七月公開!

亘は小学五年生。成績はそこそこ、趣味はテレビゲーム。
平凡だけれど、穏やかな毎日を送っていた。
学校ではとあるビルに幽霊が出るという噂が女子を中心に広がっていた。
そんな中、亘の父親が家を出て行ってしまう。
突然の離婚話に戸惑う亘。
転校生の美鶴にそこに辿り着くことができれば、願い事を叶えてくれる「運命の女神」の存在を聞いた亘は幻界(ヴィジョン)へと旅立つ決心をする。
「不当にねじ曲げられ変化させられている運命を、元どおりの正しい形に戻すんだ」


家でじっくり読んだら良かった、という感想です。
電車の中で読んでいたら途中涙がっ。
夢だとか勇気だとか冒険だとか、そういった単語にまるで興味がそそられないひとには面白くないのかもしれませんが、私はむちゃくちゃ弱いので、夢中で上中下巻読み切りました。
もう、もう、面白かったです!

宮部みゆきさんの本の中で少年が主人公というと、私が読んだ中では『今夜は眠れない』『夢にも思わない』があります。
この作品ふたつもワタルと同じように家族に降って湧いた、周りのひとに降って湧いた突然の出来事を解決するべく立ち上がる少年が主人公です。
宮部作品の良いところは(何だか偉そうな物言いかもですが)”善”だけを描くのではなく、ワタルの中に、全てのひとびとの中に善と悪が必ず共存しているように、ちゃんと”悪”も描いているところだと思います。
子供にも容赦なく、試練を与える。
これは確かにそう、子供だって時に大人と同じように、もしくはそれ以上に傷つき、子供なりに苦悩する、それを乗り越えねばならない。
そして、単にイジワルのように試練を与えるのではなく、子供には乗り越えるための強さがあると信じているように感じます。
対照的な存在として出てくる転校生のミツルも、一生忘れることなどできない過去がある。
二人は自分の運命を変えるために”幻界”へ。
自分の願いごとのためならば、何をやってもかまわないミツル。
”幻界”と”幻界”で出会った仲間たちと出会い、確実に成長していくワタル。
願い事のためならば、他のものはどうなってもいいの?後半はその問いかけがついてきます。
文庫の上巻~下巻を読み、ワタルのあまりの成長ぶりには目をみはるばかり。
異世界で自分のために、家族のために頑張り、成長してゆく姿はジブリの『千と千尋の神隠し』と近いものを感じます。
何ともたくましい子供たち。
歳だけオトナの私がはっとさせられる。

いつもの宮部作品はミステリばかり読んでいたので、ファンタジーは初めて。
『ドリームバスター』も気になってきちゃうじゃないか。
過酷な描写もあれど、やさしさやあったかさがあとに残るのはさすがです。

はぁ~、面白かった~、満足。

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