山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』(河出書房新社)

大事な人と抱き合って新しい年を迎えるということは、陳腐なようでいて、実は奇跡だ。

人のセックスを笑うな (河出文庫)人のセックスを笑うな (河出文庫)
山崎 ナオコーラ

河出書房新社 2006-10-05
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美術専門学校に通うみるめは19歳の時、39歳の講師であるユリと出会う。


松山ケンイチくんファンのひとりとしては、10月1日から発売されている文庫新装版をおすすめ。
表紙が映画仕様です。

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映画は1月公開。
前売り特典の赤いハートのピンバッヂが少し欲しい。

文藝賞を受賞されたり、芥川賞の候補となったり、話題を集めていた本作。
第一印象はあんまり良くなかったです。
筆名もタイトルも、奇抜なだけに見えてしまって。
インパクトはあったので、文庫になった時もちょっと読みたいかな?と思いつつ、月日は流れる。
そして、映画化。
松山くんが出る。
読もう。単純。

字が大きくて、薄くて、改めて驚く。

読み始めると、タイトルの奇抜さはセックス=恋愛を表している?と感じました。
性描写が生々しかったりということもないので、安心して読めました。
想像以上に、柔らかくて、ふわふわした読み心地。

みるめとユリちゃんの恋が恋なのか愛なのかもよく分からない。
でも、本人同士に分かっていればいいものなんだろうな、とも思ったり。

”せつなさ100%”と書いてありましたが、そんなに切なくて苦しくはならず。


私個人としては、一緒に載っている短篇『虫歯と優しさ』の方が好きです。
こっちの方が切なかった。
一瞬、ちょっと変わった恋愛モノなのかと思いきや、ストレートでした。
彼氏の好きなところを「頭が良かったり、面白かったりする」ところではなく、「冷蔵庫にハミガキ粉を入れているところ」だという主人公。
自分と同じように、好きな人に想ってもらうのって、難しい…改めて、思った。


↓単行本はこちら。

人のセックスを笑うな人のセックスを笑うな
山崎 ナオコーラ

河出書房新社 2004-11-20
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米澤穂信『氷菓』(角川書店)

氷菓氷菓
米澤 穂信

角川書店 2001-10
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”省エネ”少年、折木奉太郎、高校1年生。
なりゆきで入部した古典部、仲間たちにひっぱりこまれるように様々な日常に散らばった謎を解く羽目に。


東京創元社から出ているシリーズが好調の米澤穂信さん。
角川の夏の1冊のひとつである本作をこれを機会にチェック。
第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞(長っ!)を受賞した作品。

読んだ率直な感想としては、デビュー作ということもあってか、読み易い、ライトノベルに近いかと思われるような読み応えです。
”氷菓”という題名だけ見て、ちょっとヒヤッとする…というと、単純なイメージ過ぎですが、そういう、クールな作品かと思っていたのです。
でも、読み始めると、ほのぼのしている。
学園ミステリ、とあらすじに銘打たれておりましたが、その通りですね。

キャラクタも、それなりに個性的な高校生たちが出てきます。
奉太郎の”省エネ”少年っぷりはというと、廊下に落し物らしき物体を見つけても、貴重品ではなさそうだと認識すると、拾うのを止める。
一円以下の価値のものを拾うために身を屈めても、必要なエネルギー消費は一円を上回ってしまうというのは省エネ者の間の常識だ。
…ということらしい。
そのシーンにきて、漸く主人公のキャラクタを楽しみ始めました。

お嬢さまの千反田、毒舌の伊原という女子。
”旧友”で”好敵手”で”仇敵”の里志のキャラクタがヒトクチでは言えないけれど、面白いです。

血生臭いミステリでは全くありません。

でも、千反田さんが持ち込んだ謎はほろ苦く、他の謎とはまた少し違います。

この作品はどうもシリーズとして二作目が出ているようなのですが、この作品を読み終えた時にいつの間にやら次作が気になっていたぽっぽでありました。

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