宮部みゆき『長い長い殺人』(光文社)

長い長い殺人 (光文社文庫)長い長い殺人 (光文社文庫)
宮部 みゆき

光文社 1999-06
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’99年に発売された文庫本を何故、今?
まぁ、私の読書人生では、宮部作品はゆっくりとでも、全部読んでみたいなとは思っているのですが、タイミング的にはWOWOWでの映像化がきっかけ。
キャストが豪華だし、面白そう!と単純に飛びついてしまいました。
残念ながら劇場で鑑賞はできなかったのですが、DVDが出たらレンタルにはなっちゃうけれど、是非!観たいなと楽しみにしています。

さてさて、この作品。


語り部は何と、”財布”。
刑事の財布、死者の財布、犯人の財布…。
持ち主に劇的な事柄がそれぞれあるんだけれど、”お財布が語る”という設定がすごい。
10の財布たちが出てくるのですが、さすが宮部さんというか、それぞれのキャラクタがしっかりできていて、面白い。
持ち主を心配したり、応援したり。
財布たちの冒険(実際に動き出したりはできないんだけれど)も注目です。
財布といっしょにハラハラドキドキしてしまいました。
こんなこと、今までにないです、財布と一緒にドキドキ(笑)。

とある事故死、浮かび上がる疑惑、掘り出される過去。
ばらばらだったはずのお話がいつの間にかひとつの物語を紡ぎ、”犯人”へとたどり着く。

今回の(解説に掲載のカッパノベルス版”著者のことば”の表現を引用しつつ表現するなら)「短編小説を重ねていって「創りあげ」られた「ひとつの長編」、ヤラレタ感に満たされています。
個人的には宮部作品は短編より長編が好きです、しかし、こういうかたちの作品も面白いなぁ。


↓現在(2008年8月1日時点)はまだ未発売のDVD。
早く観てみたい…。

長い長い殺人長い長い殺人
長塚京三, 仲村トオル, 谷原章介, 麻生学

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2008-09-03
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宮部みゆき『誰か』(文藝春秋)

誰か (文春文庫 み 17-6)誰か (文春文庫 み 17-6)
宮部 みゆき

文藝春秋 2007-12-06
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今多コンツェルン広報室の杉村は自転車による轢き逃げにより、事故死した会長専属の運転手、梶田信夫の娘たちから相談を受ける。
未だ捕まらぬ犯人に訴えるべく、亡き父についての本を作りたいと言う。
彼女たちの強い想いにほだされ、梶田の人生をたどり始めた杉村であったが…。

久々に読んだ宮部作品。
一気に読ませてくれるのはさすが、と思います。
物語に起きる”事件”との距離感がタイトルの「誰か」と同じように、”近いような遠いような”感覚で進んでいく。
誰の目から見ても”殺人事件”として扱われるようなものではない、梶田の死から始まり、全く違う面が顔をのぞかせる物語。

今多コンツェルンの娘の夫として周囲にけして格好良くばかり思われていないことを知りながら、妻や娘のために、その立場を貫く杉村。
読者として、彼の心の内を知らない、物語に出てくる周囲の登場人物たちにとっては”情けない”、”恵まれた”人間としてしか映らないかもしれないし、彼もいちいちそれを訂正したりはしない。
読者である私はそんな杉村を”男らしい”とも思ったり。

宮部作品の中でもけして派手ではないミステリ。
ミステリの裏にあるミステリ。
派手ではないけれど、ぞっとしたり。
それでも、最後には穏やかな気持ちにさせてくれます。

↓ノベルスはこちら。

誰か Somebody (カッパノベルス)誰か Somebody (カッパノベルス)
宮部 みゆき

光文社 2005-08-20
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↓単行本はこちら。

誰か ----Somebody誰か ----Somebody
宮部 みゆき

実業之日本社 2003-11-13
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宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー(上・中・下巻)』(角川書店)

ヴェスナ・エスタ・ホリシア。
再びあいまみえる時まで。


ブレイブ・ストーリー(上)ブレイブ・ストーリー(上)
宮部 みゆき

角川書店 2003-03-05
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映画は七月公開!

亘は小学五年生。成績はそこそこ、趣味はテレビゲーム。
平凡だけれど、穏やかな毎日を送っていた。
学校ではとあるビルに幽霊が出るという噂が女子を中心に広がっていた。
そんな中、亘の父親が家を出て行ってしまう。
突然の離婚話に戸惑う亘。
転校生の美鶴にそこに辿り着くことができれば、願い事を叶えてくれる「運命の女神」の存在を聞いた亘は幻界(ヴィジョン)へと旅立つ決心をする。
「不当にねじ曲げられ変化させられている運命を、元どおりの正しい形に戻すんだ」


家でじっくり読んだら良かった、という感想です。
電車の中で読んでいたら途中涙がっ。
夢だとか勇気だとか冒険だとか、そういった単語にまるで興味がそそられないひとには面白くないのかもしれませんが、私はむちゃくちゃ弱いので、夢中で上中下巻読み切りました。
もう、もう、面白かったです!

宮部みゆきさんの本の中で少年が主人公というと、私が読んだ中では『今夜は眠れない』『夢にも思わない』があります。
この作品ふたつもワタルと同じように家族に降って湧いた、周りのひとに降って湧いた突然の出来事を解決するべく立ち上がる少年が主人公です。
宮部作品の良いところは(何だか偉そうな物言いかもですが)”善”だけを描くのではなく、ワタルの中に、全てのひとびとの中に善と悪が必ず共存しているように、ちゃんと”悪”も描いているところだと思います。
子供にも容赦なく、試練を与える。
これは確かにそう、子供だって時に大人と同じように、もしくはそれ以上に傷つき、子供なりに苦悩する、それを乗り越えねばならない。
そして、単にイジワルのように試練を与えるのではなく、子供には乗り越えるための強さがあると信じているように感じます。
対照的な存在として出てくる転校生のミツルも、一生忘れることなどできない過去がある。
二人は自分の運命を変えるために”幻界”へ。
自分の願いごとのためならば、何をやってもかまわないミツル。
”幻界”と”幻界”で出会った仲間たちと出会い、確実に成長していくワタル。
願い事のためならば、他のものはどうなってもいいの?後半はその問いかけがついてきます。
文庫の上巻~下巻を読み、ワタルのあまりの成長ぶりには目をみはるばかり。
異世界で自分のために、家族のために頑張り、成長してゆく姿はジブリの『千と千尋の神隠し』と近いものを感じます。
何ともたくましい子供たち。
歳だけオトナの私がはっとさせられる。

いつもの宮部作品はミステリばかり読んでいたので、ファンタジーは初めて。
『ドリームバスター』も気になってきちゃうじゃないか。
過酷な描写もあれど、やさしさやあったかさがあとに残るのはさすがです。

はぁ~、面白かった~、満足。

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宮部みゆき『模倣犯』(新潮社)

やっぱり、宮部みゆき作品は面白い!

模倣犯1模倣犯1
宮部 みゆき

新潮社 2005-11-26
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あのごっつい上下巻の本が1~5巻までの文庫となりました。
高いし、ぶ厚いし…と、当時は読むことをためらっていたのですが、文庫化を機に…という読者の方も多いのではないでしょうか。
私のお店では2.3巻が売り切れていたりと、非常にかっちょ悪い状態です・・・><

大川公園で見つかった女性の右腕。
その女性を殺した人間たちの舞台裏だけではなく、発見した少年の周りにも大きく焦点は当てられています。
それらをすべて描いているところがとても面白い。
ラストがちょっと物足りない感じがしてしまったのですが、とても熱中して5冊を読みきることができました。

深夜、テレビでもやっていた、『模倣犯』の映画版。

模倣犯模倣犯
中居正広 藤井隆 津田寛治

東宝 2002-12-21
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山崎努さん、いい味出ています。
津田寛治さんや藤井さんもけっこう合っているとは思う。
中居くんも決して悪くはないんだろうとは思います。
ただ、原作というものがある以上、ちょっとこの映画はどうなんだろうと。
やたら小説やコミックが映像化されていて、別世界としてうまく描かれているものも勿論たくさんあるんだけれど、忠実に描いてこそ、の部分もあると思う。
最後のシーンが衝撃だと聞いていたのですが、ほんっとに衝撃的でした。
劇中、CGが一番使われたシーンかも^^;

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