« 映画を観る→『ダ・ヴィンチ・コード』 | Main | 宇仁田ゆみ『酒ラボ』(講談社) »

宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー(上・中・下巻)』(角川書店)

ヴェスナ・エスタ・ホリシア。
再びあいまみえる時まで。


ブレイブ・ストーリー(上)ブレイブ・ストーリー(上)
宮部 みゆき

角川書店 2003-03-05
売り上げランキング : 1795

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


映画は七月公開!

亘は小学五年生。成績はそこそこ、趣味はテレビゲーム。
平凡だけれど、穏やかな毎日を送っていた。
学校ではとあるビルに幽霊が出るという噂が女子を中心に広がっていた。
そんな中、亘の父親が家を出て行ってしまう。
突然の離婚話に戸惑う亘。
転校生の美鶴にそこに辿り着くことができれば、願い事を叶えてくれる「運命の女神」の存在を聞いた亘は幻界(ヴィジョン)へと旅立つ決心をする。
「不当にねじ曲げられ変化させられている運命を、元どおりの正しい形に戻すんだ」


家でじっくり読んだら良かった、という感想です。
電車の中で読んでいたら途中涙がっ。
夢だとか勇気だとか冒険だとか、そういった単語にまるで興味がそそられないひとには面白くないのかもしれませんが、私はむちゃくちゃ弱いので、夢中で上中下巻読み切りました。
もう、もう、面白かったです!

宮部みゆきさんの本の中で少年が主人公というと、私が読んだ中では『今夜は眠れない』『夢にも思わない』があります。
この作品ふたつもワタルと同じように家族に降って湧いた、周りのひとに降って湧いた突然の出来事を解決するべく立ち上がる少年が主人公です。
宮部作品の良いところは(何だか偉そうな物言いかもですが)”善”だけを描くのではなく、ワタルの中に、全てのひとびとの中に善と悪が必ず共存しているように、ちゃんと”悪”も描いているところだと思います。
子供にも容赦なく、試練を与える。
これは確かにそう、子供だって時に大人と同じように、もしくはそれ以上に傷つき、子供なりに苦悩する、それを乗り越えねばならない。
そして、単にイジワルのように試練を与えるのではなく、子供には乗り越えるための強さがあると信じているように感じます。
対照的な存在として出てくる転校生のミツルも、一生忘れることなどできない過去がある。
二人は自分の運命を変えるために”幻界”へ。
自分の願いごとのためならば、何をやってもかまわないミツル。
”幻界”と”幻界”で出会った仲間たちと出会い、確実に成長していくワタル。
願い事のためならば、他のものはどうなってもいいの?後半はその問いかけがついてきます。
文庫の上巻~下巻を読み、ワタルのあまりの成長ぶりには目をみはるばかり。
異世界で自分のために、家族のために頑張り、成長してゆく姿はジブリの『千と千尋の神隠し』と近いものを感じます。
何ともたくましい子供たち。
歳だけオトナの私がはっとさせられる。

いつもの宮部作品はミステリばかり読んでいたので、ファンタジーは初めて。
『ドリームバスター』も気になってきちゃうじゃないか。
過酷な描写もあれど、やさしさやあったかさがあとに残るのはさすがです。

はぁ~、面白かった~、満足。

|

« 映画を観る→『ダ・ヴィンチ・コード』 | Main | 宇仁田ゆみ『酒ラボ』(講談社) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33022/10519540

Listed below are links to weblogs that reference 宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー(上・中・下巻)』(角川書店):

» ブレイブ・ストーリー  アニメ映画を見てから読むもあり、の長さです [ハムりんの読書 感想日記 おすすめの本]
ブレイブ・ストーリー  感想☆☆☆☆ 宮部みゆき 角川書店  アニメ映画がされるんですね「ブレイブ・ストーリー」。  7月8日封切というんですから、  ジブリの「ゲド戦記(以前の紹介にリンク)」  とどっちにしようかなあ、と悩みそうなところ。  (ちなみにゲド戦記の封切は7月29日に昨日、決まったみたいです)  あの分厚い2冊の単行本が、  最近、文庫本3冊になって発売された訳が  ようやく分かりました。... [Read More]

Tracked on June 14, 2006 at 09:02 PM

« 映画を観る→『ダ・ヴィンチ・コード』 | Main | 宇仁田ゆみ『酒ラボ』(講談社) »